サイエンス倶楽部で学ぶ醍醐味でもある野外実習は、会員の皆さんが宿泊可能な夏休みや冬休みを利用して、本格的なフィールドワークや屋外だからこそできるダイナミックな実験を行う実習です。
野外実習は本格的なフィールドワークや屋外だからこそできるダイナミックな実験を行う実習です。小学1年生は保護者同伴の日帰り形式で、小学2年生以上では夏休みや冬休みなどの長期休暇を利用して宿泊(1泊~3泊)を伴う形式で実施しています。自然の宝庫を訪れて生物を観察する、大空へロケットを飛ばす、太古の地層から化石を探し出す、マングローブ林をカヌーで探検する、熱気球に乗る、ハンマーをふるって鉱石を採集する――。 このような学校や普段の生活では経験できない科学の大冒険を繰り広げていきます。対象となる会員のみなさんに、事前に内容を案内し、参加希望者を募って実施しています。
毎月の通常実習に加えて野外実習を行う理由は、とてもシンプルです。教室で実習するのが望ましいテーマもあれば、自然のもとで実習するのが望ましいテーマもあるからです。たとえば解剖は設備の整った教室で行うのが適していますが、生物がどのような環境で暮らしているのかを知るには山や海で学ぶのが一番です。また、1泊~3泊で実施する野外実習は、1回2~3時間の通常実習とはまた違った角度の学びを展開できます。つまり、いつものサイエンス倶楽部の活動で得られる成果をさらに大きくしていく場が野外実習なのです。
カリキュラムをより一層充実させていくために、野外実習ではテーマに沿った現地の先生方をお招きし、フィールドワークや講義のサポートをお願いしています。
ご協力いただいているのは、動植物・化石・鉱物などの研究者、博物館や展示館の館長、自然観察のインストラクター、学術機関の研究員、学芸員、教員の方々です。サイエンス倶楽部の先生だけでなく、こうした現地の専門家から直接教えてもらえることも、野外実習ならではの魅力です。
現地のすごい先生に、楽しく、詳しく、そして熱心に教えていただいた会員のみなさんは、見識を深めていくと同時に、科学に携わる大人を通じて実社会におけるその使命にも気づいていきます。
久慈琥珀博物館元館長
佐々木和久 先生
自分が住む大地の不思議に興味や関心を抱くきっかけを。
子どもたちの科学離れが問題視されている今日、博物館館長である私としてもサイエンス倶楽部との出会いは正に好機を得た感がありました。ほぼ毎年、野外実習をお手伝いし、やりがいを感じています。
都会に住む子どもたちが、それぞれに期待や目的を抱いて、はるばる岩手の久慈を訪れるのですから、来て良かったと思ってもらえるような対応を心がけています。久慈の大地が作り出した宝物である「琥珀」や「モリブデン」などの化石鉱物を探し、楽しみながら自然科学を体験できるよう、準備を整え、みなさんをお迎えしています。
久慈地方だけはなく日本各地には自然界が作り出した宝物が数多くあります。子どもたちにはこのような宝物を探したり触れたりする機会をぜひ多く経験させたいものです。それこそが、自分の住む大地の不思議に興味や関心を抱くきっかけとなります。
生きた教材で学び、気づきを得た子どもたちが、やがて自然の大切さや生命の尊さの本質を理解できる人へと成長していくことを願っています。